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うつ病について

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治療のポイント

うつ病治療の基本は休養と薬物療法です。うつ病になると心身ともにエネルギーが枯渇した状態になりますから、さまざまなストレスから離れてとにかく休養をとることが重要になってきます。うつ病になりやすい人ほど休養をとることに罪悪感や焦燥感を抱きがちですが、早めの十分な休養が早期回復につながることを理解し、ストレスを受けにくい環境づくりに取り組みましょう。家族あるいは周囲の人たちに十分に休養をとれる環境を整えてもらうようなサポートも大切です。自殺願望が強い場合や心身の消耗が著しい場合には入院治療を行いますが、そこまで症状がひどくなくとも、たとえば幼い子どもを抱えていたり、家族の理解が得られずに休養できない場合など、自宅で十分に休むことができない環境の場合にも療養を目的に入院することもあります。
十分な休養をとりながら薬物療法を行うことで、うつ病のほとんどは快方に向かいます。しかし、うつ症状を乗り切り回復期に入る(快方に向かう)と、活動性が上がるために逆に自殺企図(自殺を図ること)が増えることが知られていますから注意が必要です。回復期は症状の変化が激しいことを理解し、その変化を最小限に抑えるためにも規則正しい抗うつ薬の服薬を心がける必要があります。また、回復期においてはうつ病になりやすい思考パターンを改善させたり、症状を悪化させやすい対人関係の問題を解決できるスキルを身につけるなどの精神療法を組み合わせながら治療が進められます。

薬物療法

ノルアドレナリンは意欲や気力、判断力、集中力、ものごとへの興味などに関連した神経伝達物質で、セロトニンは食欲や性欲、衝動性や緊張などに関連した神経伝達物質ですが、うつ病の人ではノルアドレナリンとセロトニンが欠乏した状態となっているためにうつが引き起こされていると考えられています。抗うつ薬はこの欠乏状態にあるノルアドレナリンやセロトニンの神経系に働きかけて活性化することで症状の改善をもたらします。
脳の神経伝達は神経細胞の先端にあるシナプスが神経伝達物質をやりとりすることで行われますが、送り手側のシナプスから放出された神経伝達物質はすべて受け手側のシナプスに到達するのではなく、一部は送り手のシナプスに再び取り込みされて再利用されます。抗うつ薬はこの送り手側のシナプスに再び取り込まれるのを阻害することで欠乏状態にあるシナプスとシナプスの間(シナプス間隙)のノルアドレナリンやセロトニンを増加させて、神経伝達がうまく働くように作用します。しかし、神経伝達物質が欠乏した状態では受け手側のシナプスの受容体(神経伝達物質を取り込むところ)の機能が正しく働いていないために、抗うつ薬によってシナプス間にノルアドレナリンやセロトニンの数が増えてもすぐに効果が現れるわけではありません。抗うつ薬でノルアドレナリンやセロトニンが増加してから受容体が正しく機能するまでに一般的に2~4週間程度かかるとされ、受容体の機能が回復して初めて薬の効果が現れてきます。したがって、受容体の機能が回復するまで、シナプス間のノルアドレナリンやセロトニンの数が一定に保たれるように抗うつ薬を規則正しく服薬することがとても大切になってきます。また、薬の効果が出てくる前に吐き気などの副作用が現れることがありますが、対処可能な副作用ですので、主治医の先生と相談しながら薬をむやみに中止しないようにする必要があります。

  • ※シナプス:細胞同士が電気信号ではなく化学物質を介して神経の伝達をする部分。

治療の主軸となる抗うつ薬のタイプとその特徴

抗うつ薬には、三環系抗うつ薬や四環系抗うつ薬などの古いタイプの薬と、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)の新しいタイプの薬があります。古いタイプの薬と新しいタイプの薬の大きな違いは、ノルアドレナリンやセロトニンの再取り込みを選択的に阻害するか否かにあります。古いタイプの薬ではノルアドレナリンやセロトニンの再取り込みを阻害するだけでなく、他の神経伝達物質の受容体をも阻害してしまうため、副作用が出やすくなりますが、SSRIやSNRIは他の神経伝達物質受容体は阻害せず、主にノルアドレナリン、セロトニンに作用するため古いタイプの薬に比べて副作用が少ないといえます。

・三環系抗うつ薬
第一世代の抗うつ薬で、とりわけノルアドレナリンの再取り込みを強力に抑えて効果を発揮します。高い抗うつ効果が得られますが、その反面、眠気、口の渇き、便秘、めまいなどの抗コリン性副作用も強く出やすいという特徴があります。一部の三環系抗うつ薬には副作用の発現を抑えた第二世代の抗うつ薬があります。
・四環系抗うつ薬
セロトニン再取り込み阻害作用がないのが特徴で、三環系抗うつ薬に比べて副作用の発現が少ない第二世代の抗うつ薬に属します。副作用が少ない分、使いやすくなったともいえますが、効果は三環系抗うつ薬には及びません。
・選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
第三世代の抗うつ薬で、選択的にセロトニンの再取り込みを阻害することをターゲットにした抗うつ薬です。抗うつ作用は三環系や四環系よりもやや弱いとされていますが、その最大の特徴は従来の抗うつ薬に比べて副作用が少ないという点で、非常に使いやすい抗うつ薬といえます。
・セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)
第四世代の抗うつ薬で、セロトニンだけでなくノルアドレナリンの再取り込みも選択的に阻害することから効果の面では三環系に近い抗うつ作用があり、副作用はSSRIと同程度とされています。また、SNRIは症状が多彩なうつ病において広範な症状に有効とされる抗うつ薬です。

薬物療法以外の治療

うつ病治療には薬物療法以外に、薬物療法と組み合わせて行われる身体療法や精神療法があります。たとえば、抗うつ薬で効果がみられない場合や自殺企図(自殺を図ること)が切迫している場合には電気けいれん療法が行われることがあるほか、季節性うつ病のように季節の変わり目が発症の原因となるうつ病では高照度光刺激療法が有効であることがわかっています。
また、症状がひどい極期は十分な休養と薬物療法が中心ですが、抗うつ薬によって快方に向かう回復期に入ると精神療法が行われるようになります。うつ病治療で行われる精神療法にはうつ病に陥りやすい思考パターンを改善する認知療法やうつ病の人が抱えている対人関係の問題を解決することに焦点を当てた対人関係療法があります。
さらにうつ病の症状が改善すると復学や復職に向けたリハビリテーションが行われます。リハビリテーションはうつ病の人が社会復帰するための準備期間ともいえ、この時期は再びストレスにさらされるために再発に陥りやすいことから、心身の状態に注意を払いながらリハビリテーションを進めることが重要になってきます。

本サイトで解説する病気の症状は典型的なものを紹介したもので、記載された症状がその病気をもつすべての方に当てはまるわけではなく、また症状のどれかに当てはまるからといってその病気であることを示すものではありません。治療法その他についても、あくまでも代表的なもののみを掲載しており、治療法すべてを網羅するものではありません。病気の診断および治療に関しては、必ず医師による説明を受けるようにしてください。

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